飾らない言葉と独自の美意識で、新しい「心地よさ」を届けるモデル、高山都。ライフスタイル、食生活、美容。ジャンルの壁を飛び越えて自在に語る彼女は、「人と人との距離」がかつてなかったほど意識されるこの時代のただ中で、どんな言葉を選ぶのだろう。
高山さんは子供の頃から「イヤなことはイヤ」な、はっきりした性格だったという。なにかの「ふり」をすることがとても苦手で、見ないようにすることもできない。
だから、小学校の時とか、よくいじめられてました。一緒にトイレに行くとか、よく意味がわからなくて。なんでみんなでトイレに行くの? 私、一人で行きたい、って言ったらいじめられてたから、難しいなって思ってた
二十代の頃は人に流されたこともあったという。大人になって一人暮らしを始めると、流されることは少なくなった。三十代になると「自分のことは自分が整えていくしかない」と思うようになった。
そうしないと、ブレブレになっちゃうんですよ。なんとなく流されていったりするから、それはよくないなと思って。イヤなことはイヤだと断る
今でも迷ってるんですけどね、全然。私は三十代も後半で、独身だから、シングルでいいよねって言われることもあれば、家族がけっこう羨ましい、いいなって思う瞬間もある。でもみんなそれぞれ違うし、いろんな選択ができてるから。それは、すごい素敵なことだと思っていて
しなやかでありながら、迷っている姿もあっけなく晒す。この衒いのなさが、多くの人々を惹きつけている。
「いいんですよ。人は人。自分は自分で」と笑う。
私はたとえば、なにかメニューをオーダーする時に「コーヒーでいいです」じゃなくて「コーヒーがいいです」って言いたい。「~~でいいです」って言われたくないし、一言だけで伝わり方も違うじゃないですか。ちゃんと「これがいい」って言うのってすごい大事だと思うんです。
竹を割ったような性格の高山さん。そんな彼女にも、欲しいものが見つからない時はあるのだろうか。
あります、あります。でもそういう時は無理に答えを出さない。何が欲しいかわからなくなる時は、一度、すっごい離れてみる。世の中にはモノも情報も溢れてるから。いろんなことが一気に押し寄せてくる。コロナのニュースもあるし
悶々としていると感じる時は、部屋でホワイトセージを焚くようにしているという。
カリフォルニアに生息する乾いた種なんですけど、浄化作用があると言われているハーブで。火をつけて部屋に煙を充満させる。効果があるのかないのか、本当のところは分からないけど。循環させるっていうことを、大事にしてます。よく水で表現するんですけど、川の水って綺麗じゃないですか。上流から下流に流れているから綺麗。沼の水は溜まっているから、いろんなにおいがするし、色も澱んでる。それと一緒で、いろんなことをちゃんと循環させていられればクリアでいられる。公園に行って深呼吸をしてみるとか、散歩をしてみるとか
巡らせる、循環させる。これらを大切にする理由について、こんなふうに語った。
人も循環するものだから。自分がされて嬉しかったことを、じゃあ人にもしてみよう、とか。ありがとうって言う、とか。できてなくてもいいと思うんです、私もできない時はあって。でも、忘れていた時に一言“ごめんなさい、元気?”って添えるとか
同じ場所に留まり続けない高山さん。そんな彼女は、「絶対に失敗しない」としたら、どんなことに挑戦してみたいのだろう。
声に関わる幾つかの答えが返ってきた。
私、10代の頃にスカウトされたのが歌だったんです。音楽は、ずっと昔から自分の近くにあって。けど挫折して。だから、何か歌ってみたいかも。失敗しないんだったら歌手になりたい
高山さんはすでに、ラジオのパーソナリティなど「話す」仕事に携わっている。そのことについて、「声で伝えるっていうのが好きなんです」と説明する。
歌手の他にも夢がある。子供の頃から、声優さんになりたいと思ってきたという。
お芝居はやってきたけど、声だけっていうのはしたことがなくて。それは何歳になってもまだあきらめない夢のひとつかも。話すこと、伝えること、歌うこと。音が好きなのかも
音楽も声も、停滞せずに巡ってゆくものだ。彼女にふさわしい夢に思えた。