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MAGAZINE
STYLE OF MASHIRO

書道家 / アーティスト青柳 美扇
BISEN AOYAGI
PART.1

ダイナミックな書道パフォーマンスをはじめ、さまざまなロゴや立体作品など、新しい表現を生み出し、多くの人々に大好きな書道の魅力を届けている。自身のことを「書道野郎」と語る彼女はいつも、どんな日々を過ごしているのだろうか?

負けず嫌いなんでしょうね。
自分に負けるのも嫌です。

MASHIRO、使ってみてどうですか?

最近は毎日使っています。粉の歯磨きを初めて使ったので、最初は「おお、粉か!」ってめっちゃびっくりしたんですけど、意外とちゃんとつくんですよね。磨いた後はスッキリするし、爽快感がすごくいいなと思っています。
私はオーラルケアに力を入れていて、朝と夜は20分ぐらいかけています。歯ブラシを4本使ったり、フロスをしたり。そんな中でも、MASHIRO……いいです。味がおいしい。歯磨き後にすぐ食べたり飲んだりしても、嫌な味とかしないし。お母さんも使ってます。
見た目もめっちゃかわいいんで、おしゃれな友達に贈ったら喜んでくれそう。

普段は、どんな一日を過ごしているんですか?

朝起きてから寝るまでをアトリエで過ごして、「常に書道と一緒」という生活をもう何年も続けています。最近は午前10時ぐらいにアトリエに来て、夜は遅い時だと午前3時ぐらいまで。途中でPCを使った作業を挟んだりもしますが、基本的にはこのアトリエで生活をして、食事の時だけ自宅に帰っています。「何曜日に休む」という概念もないので、曜日の感覚もあまりなくて。「なんか今日はよくメールが来るな。ああ、月曜日だ」みたいな。

スノーボードやサーフィンに行くなど、アクティブな面もありますよね。小さい頃もそういう一面がありましたか?

そうですね。わりと小さな頃から書道をやっていたのですが、それ以外のときは外で走り回って遊んでいるようなアクティブな子供でした。外でどろんこになりながらザリガニを獲ったりとか。基本的には自然が大好きです。普段は書道でアトリエに引きこもっているので、たまの休みの日には外で活動することが多いかもしれません。年に一回、一週間ほど北海道に行くんですが、そういうときは自然の中でアイデアが湧きやすい。だから頭をリセットするという意味でも、外に出向くようにしています。それで、外出先でいいアイデアが湧いたらわーっと書いて。移動中に構想をメモしたりしますね。

書道にはまっていった経緯は?

最初はおばあちゃんが書道の先生だったんです。和に精通していて、お華もやるし、お茶もやるし……なんでもできるおばあちゃんで。私はおばあちゃんっ子だったから、いつも和室で遊びながら育ちました。そのなかで、お華もやって、お茶もやって、お着物も着て、書道もして。でも、お習字をするのがいちばん楽しかったんです。うまく書けると褒めてもらえるんですよね。それが嬉しくて、お習字ばっかりしてました。

「この道でやっていこう」と決意をした瞬間はありましたか?

大学進学の時期に、就職をするか進学をするか悩んでいたら、ある先生から「お前は書道がすごいから、そっちの道にいけ」とアドバイスしてもらいました。それで、すっと先生の言葉が胸におちて「そういう道もいいな」と思って。大学で書道を専攻して、4年間専門的に勉強しました。そこで書道パフォーマンスに出会ってどっぷり浸かって、書道の道にいこうと決めました。

大学で、転機があったんですね。

はい。初めて大学の授業を受けたとき、先生から「お前は下手や」と言われて、初めて挫折を味わったんです。最初は、「自分は上手い」と自信たっぷりで提出したので下手と言われて正直けっこうむかつきました(笑)。普段だったらお声がけもできないような偉い先生だったんですけど、そんな先生に対して、もう、言いたいことをはっきり言ってて。よく困らせてましたね。はねっかえりの私にも、厳しくもあたたかく指導していただけて今でもとても感謝しています。「お習字」と「書道」との違いを理解することができたのも大学での勉強があったからです。

「お習字」と「書道」の違いは、どんなところなんですか?

お習字は、字の通り、「字」を「習」う。「美しく書く」というのが基本なんです。そして書道のほうは「美しく書く」が基本としてありつつも、もっと芸術的なものに昇華させていく。自分らしさをどれだけ出していけるか、という視点から高度な表現を追求していくんです。4歳から14年間「お習字」を続けてきた私は、大学に入って初めて「書道」に触れたんです。「ああ、全然違うものなんだ」って、そのとき初めてわかったんです。

同じ文字を扱うものなのに、全然違うんですね。

そうなんです。先生は、「文字を見るな」とよく言っています。「文字ではなく、余白を見ろ」と。文字が書かれていない余白の、白が浮き上がって美しく見えるものがいい作品だ、と。そういうことを教えていただけるので、全然違う視点で物事を見られるようになるんです。今でもご指導いただいているんですけど、日々、勉強ですね。一生勉強だと思います。楽しいことです。

上手く書けない日はありますか?

うまく書けない日はあります。そういうときに、「絶対いったらあかん」という方向にどんどん書いて、どんどん嫌になって、ということがある。できない自分にイライラすると「できるまでやろう」って思いがちなんですけど、そういうときって絶対すぐやめたほうがいいんですよ。1時間でもいいから休憩したり歩いたり、全然違うことをする。そうするとまた気分が変わって復活できる。でも、「それすらイヤや」みたいな、意地になることもあります。負けず嫌いなんでしょうね。自分に負けるのも嫌です。

集中したいときにする、自分だけの儀式ってありますか?

いつも導入の際に、ウォーミングアップをしたり、音楽をかけたりします。「King Gnu」の曲とか。いつも、まあまあ大きい音で音楽がかかってるんですけど、それがあんまり聴こえなくなってきたら、ちょうどいい。最初は「ふふーん」って曲に乗ってるんですけど、だんだん聴こえなくなって、ゾーンに入れる。

作品には全部「自分」が出るものなんですか?

出るかもしれないですね。年齢も出ますよ。若い作品は溌剌としていて、フレッシュ感があるんですよね。私も10年前の作品なんかを見ると、今のほうが線質やテクニックはむちゃくちゃ上がってるんですけど、やっぱり、そのときに書いていた作品のフレッシュさには勝てないんですよね。それは、ほかの人の作品にも感じます。若干の悔しさもあるし、「これだけ積み上げてきてるから上手くなった」「自分に勝った」という気持ちもあります。しっかり楽しんで書くことや、なるべく頭を空っぽにして書くことが大事なのかな、と思っています。

PROFILE

書道家 / アーティスト
「書道パフォーマンス甲子園」アンバサダー
青柳 美扇 BISEN AOYAGI

大阪府出身。世界10カ国以上で書道パフォーマンスを披露。国立競技場の貴賓室作品をはじめ、「JFA天皇杯」のオープニングアクトをつとめた。東京2020公認オリンピアード「東京キャラバン」に書道家として連続出演。

代表作
「モンスターハンターライズ」、手塚治虫原作TVアニメ「どろろ」、関ジャニ∞「友よ」、劇場版「モノノ怪」、「JFA天皇杯」、「FIBA男子オリンピック公式試合球」デザイン等。2021年、5000枚の「美」の文字を使った書の3D作品「美の鳳凰」シリーズを発表し、青柳美扇独自の世界観を発信し続けている。
同年、MBS「情熱大陸」出演